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令和元年 ヨセミテクライミング【前半】

参加者 石橋、シロクマ改、山本

エリア アメリカ合衆国、カリフォルニア州、ヨセミテ国立公園



今回のヨセミテ行きは私にとって3回目であり、去年敗退したノーズを再びトライすることが目的であった。

結果として再びノーズ敗退。学ぶことも多いが、残念な結果となった。

今回はトライ前から厳しいかな?と思う要素もあり、残念だが冷静に敗退を受け止めている。

しかし学ぶことは有ったといえ、自分にとって大きな出費と時間を捻出してこの結果。

やはり釈然としない感覚が多少胸の中に燻っている。

10月7日

福岡空港から出国。

山本は大韓航空に乗る。

中島さん、石橋さんコンビのフィフティーズはキャセイパシフィック航空で~。

先に山本がサンフランシスコ空港に着きレンタカーを確保。フィフティーズが合流しヨセミテへ出発。

途中買い出しをしながらヨセミテ国立公園のゲートをくぐり、深夜0:30にキャンプ4に到着。キャンプ4のキヨスク前にはすでに20人近く寝袋が列を作っている。我々も習いキヨスク前で雑魚寝。

10月8日

起床してしばらくするとレンジャーのおば様が何事か大声で後続の我々に話している。どうやら我々の直前までで定員オーバーになりギリギリキャンプ4に入れなかったようだ、、、。

この日は本来はテントを設営しノーズアタックの為のホールバックのパッキングやギアの整理をしてゆっくり休む筈だったが、テントサイトを取得出来なかったので、検討した結果、翌日の9日に行う予定だったシックルレッジまでの4Pを登りフィックス工作を済ます事にした。

11:30頃から1P目スタート。

石橋さんリード。

すでにノーズには沢山のパーティが取り付いている。我々の前にも2パーティ居て、5.7のクラックを登った後ピッチを切って待機。その直ぐ上でも細かくピッチを切って待機と時間がかかった。1P目の後半のC2セクションを切り抜け、無事石橋さんがヨセミテデビューを果たした。

2P目、中島さんリード。

ここもC2がありピトンスカーが悪かったらしく苦労しつつも突破。この時点で日が傾き暗くなり始める。

3P目、山本リード。

本来シックルレッジまで中島さん、石橋さんで交互にリードする予定だったが、ヘッドライトクライミングとなる事を考慮して山本がリードする事に。3P目は1箇所スカイフックに乗ったが特に問題無く終える。ヘッドライトを途中で付けた。

4P目、山本リード。

2回の振り子を経てシックルレッジへ。

1回目の振り子はテンショントラバース気味に振り、ピトンスカーでカムエイドして2回目に振り子をするピトンへ向かったが、ピトン直前のピトンスカーが思いのほか悪く手間取ってしまった。真っ暗闇の中シックルレッジに着いたら先行パーティがビバーク中でイビキをかいて就寝中。セカンド以下がシックルレッジに揃うと急いでフィックス工作に取り掛かる。

フィックス工作が終わり地上に着いたらすでに、23時過ぎ。キャンプ4には0時頃着く。ある物を腹に詰め込みキヨスク前に再び並びながらの雑魚寝。

10月9日

朝になると昨日と同じレンジャーのおば様がやってきた。どうやら我々はキャンプの定員内に収まったようだ。

この日は本来、1P目からシックルレッジまでフィックス工作を行い荷揚げをしてシックルレッジでビバークをしようと考えていたが、連日のキヨスク前の雑魚寝や昨日の労働も加味して、1人テント設営食事当番、2人でフィックスラインから荷揚げ班に分かれて、それぞれの仕事を終わらせたらキャンプ4で就寝。翌日未明からフィックスラインを登ってアタック開始と決めた。

中島さんがテント設営食事当番。石橋、山本ペアで昼頃から荷揚げを開始。晩飯時には帰着。たらふく食いまくり早めに就寝。

10月10日

3時起床、4時出発。

5時頃にはシックルレッジに上がる。シックルレッジには3人組のパーティと、2人組のポーターレッジに寝ているパーティが居る。

3人組パーティは5P目のフィックスが済んでいるようで未明からフィックスを上がって荷揚げを開始。

我々はフィックスロープ回収を完了させた後、ホールバックを詰め直し6時頃シックルレッジを出発。

5P目、山本リード。

このピッチはグレードも低くほぼフリーで抜ける。まだ元気でクライミングスピードは問題無かったと思う。ホールバックが50kg程あるため荷揚げがキツイ。

6P目、山本リード。

振り子トラバースから5.6のクライミング。振り子で振った後なのでランナーが取れず落ちることは許されない。グレードは低いが岩が少し脆いところがあり緊張する。

7P目、山本リード。

再び振り子トラバースからフレークを伝いストーブレッグクラックの途中でピッチを切る。下のフレークはフリーで抜けるが、ストーブレッグクラックに入った辺りは振り子トラバースの関係でランナーがずっと取れず怖いのでエイドした。ある程度上がってランナーが取れてからはフリー。エイドが入ると時間がかかる。

8P目、山本リード。

ストーブレッグクラックのピッチ。ハンドサイズの同じような番手が続く。フリーで抜ける気満々だったのだが、ずっとリードと荷揚げを担当してきたのでバテバテになってしまった。バテた体でフリーは無理で結局ほとんどエイドで登り、かなり時間がかかってしまった。フリーで行けば早いピッチなのに、、、。

9P目、山本リード。

完全にバテ上がっていると2人組のパーティに追い抜かされた。このピッチは疲れて堪らず中島さんにリードをお願いしたが、中島さんが登れず早々にギブアップ。再び山本リードで登る事に。序盤は簡単なフリーだが、上は延々とキャメロット#3番サイズ、最後に#3~#4サイズが続きフリーだとカムの球数が全く足りないので、延々とカムの架け替えでエイドで抜けた。このピッチのリード中に完全に日が暮れた。

10P目、山本リード。

10m程の短いピッチ。追い抜いていった2人組のパーティが上のドルトタワーでポーターレッジを広げてビバークしているらしい。ジャパニーズチームハリアーップって上から言われながらセコセコ登る。一日中リードと荷揚げを担当したので流石にキツイ。このピッチの荷揚げだけ中島さんにお願いした。

10P目を登り終えて、ドルトタワーにたどり着いた時にはもう真夜中。正直遅すぎる。

まずトップの自分が登る速度が遅すぎる。出来る限りフリーでさっさと登りたいのだが、自分のフリー能力不足、体力不足でエイドになってしまい時間を食う。

セカンドも毎回ロープを絡ましているのか上がって来るのが非常に遅い。

一番致命的なのは自分以外に確実にリードが出来る人間がいない事。

一人でリードして荷揚げをするなんて残り20Pも自分には出来なかった。

あと中島さんがヘルメットを落とした。ヘッドライトを装着中に?

状況を改めて再確認すると酷いもんだ。

しかしチームのクラッククライミング能力を考えたらこうなることも予測は出来ていた。

過信していたのは自分の体力、フリー能力。

自分がある程度引っ張って行けば良いと甘い考えだった。

うんまあトップアウトは無理だろう、と言うことでドルトタワーでビバークし、ここを最高到達点とすることにした。

10月11日

壁を眺めながら起床。

下降ラインからラペリング開始。

8回の懸垂下降で地面に到達。今年のノーズが幕を下ろした。

敗因は明瞭、チームとしての実力不足。

もっと基礎クライミング能力を上げましょう!!

必要なのは強さ、強ければ大体のことが解決します。

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