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剱岳クライミング定着合宿

【山域】 剱岳

【期間】 2022/8/6ー2022/8/10

【メンバー】Aチーム:M.K、梅本

      Bチーム:シロクマ改、エージェントY、T.I、かいキャノン



8/6(晴→雨) 

室堂10:48―11:29雷鳥沢野営場―12:57剣御前小屋13:33―14:29剱沢小屋14:31―16:39真砂沢


 活気に満ちた騒がしい室堂に到着したのは10:30をまわっていた。夜通し約1,000kmの道のりを走り抜いた疲労が妙な達成感とともに全身にまとわりついている。時刻は10:48。気怠さに包まれたまま室堂を後にした。

 快晴の空に流れる剱の風の下、脂汗を流しながら歩荷家業に勤しむ姿はいかにも山岳部的で社会人のスマートさは一ミリも感じられない。登山者の心を砕く別山の急登に翻弄されつつ、乗越を越え3カ月ぶりに剱岳と再会を果たす事となった。

「あゝ剱、あなたはどうして剱なの…。」

何かが溢れ出してしまったのか、愛をささやくようにエージェントY氏が本峰を見つめている。空が落ちてくるのでは無いかと思う程の真剣なまなざしはその愛の深さを物語っていた。

 剱岳の姿を見て以降、何かに支配されてしまった愛の伝道師を筆頭に剱沢へと下り始める。正面にドンと構える剱岳はいつ見ても美しく、凛々しいが、いかんせん長い下りの影響で徐々に我々の精神と肉体が乖離し始める。雪渓に降りると追い打ちをかける様に足元のチェーンスパイクが仕事を放棄し、アキレス腱と大腿筋がすべての負荷を受け入れる羽目になった。1時間と少しばかり筋繊維が破壊される快楽に浸りながら聖地、真砂沢ロッジへと到着。見計らったように降り出した祝福のスコールを浴びながらの宴会となった。


8/7(晴) 

BC 3:22―5:00中谷ルート取付8:00―10:30本峰南壁―13:30剱岳14:00―16:40 BC


Aチーム:BC→平蔵谷→中谷ルート(敗退)→本峰南壁→平蔵谷→BC

Bチーム:BC→平蔵谷→剱本峰南壁→平蔵谷→BC(エージェントYのみ平蔵谷から下山)


 先発した南壁隊から遅れる事10分、BCを出発する。まるで昨日のスコール等無かったかのように満天の星空が果てしない広がりを見せている。

 1時間半程、剱沢を登り返し平蔵谷の出会いで昨日デポした装備を回収。そのまま30分ほど平蔵谷を詰め、中谷ルートの取付に到着した。時刻はおおよそ5:00。

 取付から見上げるルートはいかにも悪い。そのうえ出だしから濡れており、フリーの凹角ラインも水が流れている。前情報では右側に人工ラインがあるはずだが、見たところリングボルトが1本打ってあるのみで、次のボルトは20mほど上にひっそりと打ってあった。きっと中間が飛んだのだろう。

 たかだかV級とフリーでの突破を試みるも見た目通り悪く、A0に切り替えるも撃沈。諦めてK氏にすべてを丸投げするもやはり撃沈。1ピッチも前進せず、2時間以上の時間を費やしただけだった。

 コンディションに見放され、突っ込むリスクも負いきれず、完全な敗北を喫して撤退する事となった。懸垂下降で取付を後にし、雪渓へと舞い戻る。仕方がないのでお茶を濁すために南壁を目指す事にした。

 平蔵谷を永遠に詰め上がり、A2取付に到着するとすでに京都府立大山岳部パーティが取り付いていた。言葉の端々から感じられる知性に圧倒されつつ後に続く形で登攀に興じた。


8/8(晴) 

BC 5:16―8:30Ⅵ峰取付9:00―11:52 Dフェース頂上12:30―16:30 BC


Aチーム:BC→長次郎谷→Dフェース久留米大ルート→長次郎谷→BC

Bチーム:BC→長次郎谷→Cフェース剣稜会ルート→長次郎谷→BC


 昨日の敗退を受け入れられぬまま、朝を迎える。朝日が何かを解決してくれるだろうと期待を寄せるが、敗北は思春期の恋心の様に粘着質にまとわりついて離れない。せっかくの合宿を何とか立て直すため母校唯一の誉である久留米大ルートを目指す。

 K氏が大学時代に登って以来、肝心の久留米大出身者に登られる事なく富山大ルートの陰に隠れた名ルートである。長い長い長次郎谷を詰めⅤ・Ⅵのコルまで這い上がる。雪渓を詰めるだけで失神しそうな程の苦しみだが、すでに立命館大学山岳部パーティがA~Dフェースに取り付いていた。思いもよらぬ爽やかな挨拶を浴びせられ、衝撃で手足が硬直する。おかげで休憩が30分ほど延びてしまった。

 Bチームと別れシュルンドの隙間を縫ってDフェースの取付に到着。9:00ごろ。

1P目 Ⅳ級 梅本

 久留米大ルートのルート図を持っていなかったため、どれがルートか分からない。どこから登るか迷っているとK氏の圧を感じたため、仕方なくそれらしいラインを登ると腐ったハーケンが見えた。ルートは乾いており明瞭であるが、岩は脆く、ランナーもない。時折見つける残置ハーケンは曲がっておりビナが入らない事もしばしば。

2P目 Ⅳ級 木下

 フリーセクションの核心。相変わらずランナーは古びた残置ハーケンである。時折小さい番手のカムが入る。

3P目 Ⅴ級 A1 梅本

 エイドセクション。残置ハーケンが近い間隔で打ってあり、エイドで登る。細かくランナーを取るように指示を受けたので、ほとんどのハーケンでランナーを取っていると手持ちギアが核心前で尽きる。それに加えてうっかりアブミを残置した事に気づく。近頃、物忘れが激化しているので深夜徘徊ガチ勢になる日も近いかも知れない。アブミを回収後、捨て縄やカムのビナをハーケンに直掛けして切り抜ける。

4P目 Ⅲ級 木下

5P目 Ⅲ級 梅本

 12:00ごろにトップアウトした。久ぶりの本チャンで1P目から手間取り、時間がかかってしまった。Bチームと合流しBCへ帰還。


8/9(晴) 

真砂沢7:30―8:45平蔵谷10:14―12:27剱沢キャンプ場


 真砂沢BCを撤収して剱沢小屋までBCを上げる。大学山岳部の聖地を離れるのは後ろ髪を引かれる思いであるが、いくら願えども休日は延びない。

 8:45ごろ平蔵谷の出会いに到着。時間セレブの我々はせっかく夏の剱に来ているという事で雪訓を行う事となった。内容は①ピッケルストップ②コンテ(大阪府学連方式)③スタンディングアックスビレイ。

 良質な時間を過ごし、満足感とフル装備に押し潰されそうになりながら剱沢小屋に到着。余裕のK氏とキャノン氏の横で消失寸前の意識を繫ぎ止めていると、白目を剥きながら50s(I氏、シロクマ氏)も上がってきた。

 休憩もままならない中、朦朧とした意識でテン場に入ると奇しくも全員が1缶900円のビールを握り占めていた。誰もが予期せずして我が隊のエンゲル係数は跳ね上がったのだった。


8/10(晴)

剱沢キャンプ場7:07―9:54室堂


  最終日は下山できるという安堵の隙間に何かをやり残した様な残尿感が付きまとう。更年期のトイレ事情の様な気分に浸りながら下っているとキャノン氏が怒涛の下山で周囲を煽り始めた。彼は公務員だったと記憶していたが煽り運転はご法度では無いようだ。唐突にデスレースが開催された事により合宿の余韻も残尿感も室堂につく頃にはどこかへ消え失せていた。



8/6 【DAY1】

賑わう室堂


快晴を手にした一行


愛の伝道師「あゝ剱、あなt…くぁwせdrftgyふじこlp;」


苦しみの雪渓


聖地、真砂沢ロッジ


8/7 【DAY2】

Bチーム本峰南壁 シロクマ氏


Bチーム本峰南壁 シロクマ氏と画角に入らずも愛を叫ぶエージェントY氏


Bチーム本峰南壁 あえて困難なラインを取り、Ⅲ級ルートのグレードを上げるI氏


Bチーム 山頂にて


中谷ルート取付より


撤退


Aチーム 本峰南壁


Aチーム 本峰南壁


8/8 【DAY3】

長次郎谷出会い


セクシーなCフェース


Bチーム剣稜会ルート 画像越しに登りたい気持ちが3Dで伝わるI氏


Bチーム剣稜会ルート Goodポーズと見せかけて、キャノン氏を煽るI氏


Bチーム剣稜会ルート シロクマ氏の映えshoot


Aチーム久留米大ルート 忘れ物が心配な梅本


Aチーム久留米大ルート 休憩を打診するも却下され悲しみにくれる梅本


Aチーム久留米大ルート 水分補給を打診するも取り合わずに登っていくK氏


Ⅴ.Ⅵのコルへの下降2回目


8/9 【DAY4】

晴男かいキャノンの力により、快晴4日目を手に入れた一行


ピッケルストップを決める晴男


コンテ講習中


SAB出来ちゃう人



8/10 【DAY5】

剱沢小屋のテン場にて この後、怒りのデスレースが開催されるとは知る由もなかった


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