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石鎚山北壁トイルート(冬季)

期間 R6.1.9~1.12

メンバー Kinoshita・K.Yamamoto

1/9 比叡山エンドウォール

   今年の冬は異様な暑さだ。しかも正月から暗いニュースばかりで世界が少しずつ狂ってゆくような不穏な感 じである。そんな中、山に行くのは気が引けるが「山なんか、行きたくて行っている訳じゃないのだ」と心にもない弁解をつぶやきながら、いそいそと準備に勤しむ。そんな性根を見透かされたのか、我々の入山期間だけ見事に天気が悪い。当初は宝剣岳を予定していたのだが、冬装備に加え岩装備を積み込みクライミング難民として流浪の旅に出ることにする。大堂海岸でクラック修行も考えたのだがどうにも遠く、初日は比叡山でワイド修行に勤しむことにする。

1/10 石鎚山登山口→二のクサリ小屋

  結局のところ、四国は石鎚山北壁がいいのではないかという話になり、九四フェリーにて四国入りし、登山口ロープウェイにて入山する。相変わらず気温は高く、腐った雪が辛うじて日陰に張り付いているのみである。成就社から下ったのち、最低コルから這い上がり、3時間ほどで二のクサリ小屋着。ここら辺で積雪40cm、ようやく冬山らしくなってきた感じである。荷を下ろし、ハーネスにバイル、ロープを持って北壁の偵察に行く。三のクサリ小屋の前を通って北壁側へ雪面をトラバースし壁の基部から伸びているブッシュ帯に入ると木に銀マットが括り付けてある。どうやらここが取り付きらしい。既に日没が迫っており、夕闇に追われるようにして二のクサリ小屋にて一晩を過ごす。

                       取りつきへのトラバース

1/11 石鎚山北壁「トイルート」登攀→松山市内某所

起床後、外を見ると見事にガスっていて北壁は見えない。朝食を食べながら暫し天候待ち。K.yamamoto氏は今回トレラン用に開発された特別食なるもの(プロテイン様の粉末食)を持参しており、これを水で溶いて一飲みすれば終日登り続けることが出来るらしい。

次第に晴れてきたので、昨日のトレースを辿り取りつきでロープを繋ぐ。気温は-5℃、けっこう氷雪が付いており、しっかり冬壁である。

1p目 灌木帯を30mほど左上すると岩壁に突き当たる。直上するか迷うが、左へ水平移動すると残置ハーケンやボルトが出てくる。古いスリングが残置された支点でピッチを切る。

2P目 残置に導かれるようにコーナークラックを上がり、上がりきったところで左へ乗り越し、グージョンが打たれた支点まで。立っていて高度感が凄い。岩は固くキャメロット(0.3~#3)やトライカム(ピンク)がよく決まる。

3P目 このルートのハイライト。傾斜の緩い凹角の氷にアックスを刺して登ってゆき快適そのもの。左の側壁に適度に残置あり。使わなかったがスクリューやアイスフックも有効。最後の乗越はピックが効いたので強引に這い上がり南斜面に出ると、びっくりするぐらいに温かく気温は約10℃、雪もなく一面の緑である。さっきまで寒さで震えていた北壁と南面では全くの別世界だった。(取りつき9:00~主稜線13:00)

山頂経由で小屋に戻り、荷物を回収して同ルートを下山する。その日は海辺のキャンプ場にて幕。トレラン食のみで動き続けていたK.yamamoto氏は食欲が大爆発したらしく、キムチ鍋4人分に鶏ハツの炒め物、鶏もも肉の照り焼き、うどん、てんぷら、卵焼きをことごとく平らげ、ビール6缶を飲み干していた。


1/12 本庄 休暇最終日、せっかく愛媛に来たことだし松山市内で図書館探しや、松山城散策などが心をよぎったが、すぐさま九州へ取って返し、本庄の岩場にてクライミング。元気なK.yamamotoは課題を前にしきりに気炎を上げているが、とてもそんな気力は無く、羨ましい限りである。ひとしきり登った後、熊本経由で帰福する。

石鎚山の北壁は岩も硬く節理が発達しており、下部の氷瀑と継続するとさらに充実したクライミングが楽しめそうである。そしてなによりも山頂へ抜けた後に浴びる燦燦とした太陽が冷え切った身体を暖めてくれるのがありがたい。


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